2018年09月05日

カイテイ舎 第4回公演を観て


       『 アンティゴネ 』     ソフォクレス原作 ヘルダーリン訳による舞台用改作

            作 ベルトルト・ブレヒト 訳 谷川道子 
            演出  松本徹   


日時  2018年8月17日(金)〜19日(日)  会場  人間座スタジオ


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先ずはこのギリシャ悲劇の大作を、しかも現代に通じる問題として、ブレヒトが改作した台本で取り上げられた思慮深さに敬意を表します。

『アンティゴネ』は『オイディプス』と共に、ギリシャ悲劇の中でもよく知られている作品だが、近頃では、取り上げる劇団も少なくなっているように思うのだが、演出家・松本徹氏は新しい観点からこの古典劇を照射され、甦らせようとされているのだ。
 つまり「アンティゴネの死を運命の悲劇から暴君の犠牲者として捉えなおすことで現代的な意味を与えたのです」とこの作品を解説されている。

 舞台で一番に感心したのは、舞台美術だった。
 実際の砂を舞台に持ち込んで、それを演技の中に活かして行くという、演出の意図とも相呼応して、このスタジオが何時もの舞台の趣きとはすっかり変容し、斬新で芸術性の高い空間に早変わりして、素晴らしい舞台になっていた。
 また、6人の出演者だけで、勿論一人がいろいろな役をやっていくとは言え、この大作をやっているなんて考えられない、見応えのある舞台だった。

 ひとつ残念に思うのは、やはり一人の出演者が何役もやると、どの役も同じようなトーンになってしまい、芝居全体があまり変化がなく、始めから終わりまで変わらないように見えてくる。
 そしてそこに一貫して流れているのは悲しみだけで、権力者とそれに盲従する民衆や、預言者の言葉などが際立ってこないのは何故だろう。
 だからと言って、滑稽さを付け加えようとしても、わざとらしいところが目についたのだが......
 
 演出家・松本氏もきっと思ってられるだろう、よく訓練された俳優達で座組が組めればと....
 現実は厳しいですが、また素晴らしい作品を観せて下さい。お待ちしています。

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2018年07月31日

ソキュウ第二回公演 を観て


      『 い ず 子 』    作・演出  美女丸

   日時  2018年7月20日(金)〜22日(日)  会場  人間座スタジオ   
 
 何だか話の内容が良く分からないままに、だが舞台は毅然とした態度で、黒スーツ姿の女性達が、キビキビとテンポ良く喋ったり動き回ったり.....舞台美術は四方を黒幕で囲った中に、天井から白い布が3枚垂らされていて、空間が区切られているという......演出は、並ではなく、斬新で面白く、才能を感じさせられた。

 だが、話の内容は何なのかと考えるに、この人間社会の「近未来」を描いた、サイエンス・フィクションなのか。
 「カプセルの中で育った”子”。その”子”を教育する機関があり、”いず子”はその機関で働いている。
  そしてその”子”らは、戦争に狩りだされて、殺されて行くのだろう.....」とこんな捉え方でいいのだろうか。

 何だか漠然として掴み切れないのだけれど、なのに舞台に魅せられてしまうのは何故か.......。
 「現代社会」を見据えて、その未来像を提示してみせようとしている、この不思議な世界を書かれる作・演出の美女丸さんの、今後に大いに期待しています。

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2018年07月17日

演劇ユニット「碌無のシュウマツ」第二回公演 を観て


     『 愛してる 』   作・演出  土井誠啓

     日時  7月14日(土)/15日(日)   会場  人間座スタジオ

 土井誠啓さんのこの作品を読んだ時、「うまい」と思った。
 その繊細な感性は、隅々まで行き届いた筋運びで、物語を構成している。
 これがどんな舞台になるのか、楽しみだった。

 それが、実際の舞台では、思い描いていたのとは、少し違った。
 出演者が皆若いというところにあるのか......その若いことの良さは、テンポ良くて軽妙で、明るくて、洒落た舞台を創り出していた。
 しかし、「てんやわんやの大騒動」を芝居じみて演じれば、全体が上辺のストーリーに流されてしまい、どたばただけが残ってしまう。
 ここはやはり、演技のリアリティーが加わる必要があるのではないか。
 相手役との一瞬一瞬をどう関わるか、その交流・葛藤が、自ずと緊張感を生じさせて、観客を劇世界へ引き込んで行くのではないだろうか。
 台本の読後感では、もっと大人っぽくて深みのある「男女の愛」が読み取れたのだが.......

 何はともあれ、題名からして解説不要で、その上幽霊の登場や人工頭脳を搭載したクロゼットまでを絡めたりで、面白くて楽しい舞台であった。

 土井誠啓さんのますますのご活躍を期待しています。

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