2018年10月23日

劇団紙ひこうき 第1回公演 を観て


      『 遠くに街がみえる 』  
               脚本・演出  高杉征司(サファリ・P)


  日時  2018年10月13日(土)〜14日(日)  会場  人間座スタジオ

 近頃のシニア劇団には目を見張るばかりだ。
 どこの劇団も競って良い作品を発表されていて、頭が下がる。

 今回の”紙ひこうき”さんも、指導されている人が優れている所以だろうが、定期的に積み重ねられている勉強と訓練が見て取れて、舞台全体は隅々まで目が行き届き、しっかりとした見応えのある良い舞台になっていた。
 一言。
 還暦の同窓会で、思い出の学生寮に集まった女性4人が、そこで一夜を明かすうち、18歳当時の寮生活のエピソードのいくつか、恋愛問題で悩む者や、家庭問題から寮を去って行く者等々、また自分が何故この学生寮に入りたかったのかの記憶が甦って行くストーリー。

 舞台では、回想シーンに若い俳優が18歳の寮生として登場して来るのだが、力強くて、テンポも速く、劇的緊張感も増して大変良かった。
 と思う反面、還暦の4人が、過去に戻って18歳を演じる下りは、若い俳優とのギャップが大きくて、すなわち、生徒の親が出て来たように見えてしまうのだが.........
 これも意図されたものかも知れないが、「失ったもの」それは「若さ」 を感じさせていた。

 ”思い出の学生寮も間もなく取り壊される”という所でこの作品は終わっている。
 何だかチェーホフを思わせるような、人生を考えさせられる心温まる作品を目指されているような作者で演出の高杉征司さんに、拍手を送ります。

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posted by 人間座 at 16:07| Comment(0) | 日記

2018年09月30日

アトリエ劇研シニア劇団空いろ 第3回公演 を観て

  
       『The Railway 』  人生は列車の旅に似ている。
              構成・演出   細見佳代


    日時  2018年9月28日(金)〜29日(日)  会場  人間座スタジオ

 ほんとうに面白かった。
 見た目にも全然違う、キャラクターの際立った二人の男が、山道をリアカーを引いて烏鯉を運んで行くシーンは、圧巻だった。
 それに加えて舞台美術も優れていて、これが一枚の絵となり、このアイデアはなかなか思いつかないぞと感心もした。
 構成・演出の細見佳代さんの確かな創造力に拍手を送ります。
 
 また平均年齢64歳だと言う女性陣の強かさにも感心。
 いくつもの役に早変わりしながら、道具を移動させながら、セリフや歌を忘れずに、劇のストーリーを進行させて行く見事さ。
 以前観せてもらった時もびっくりしたのだが、よく練習を積まれた演技は、列車のシーンなどはマスゲームのようにも見えた。

 作品は池端俊策氏の脚本『烏鯉』を元に改作されたそうだが、本来の意図された内容は、二人の男の生き様を中心に描かれていていたのではなかったのかと推測する。(『烏鯉』を読んでいない)

 前説にもある通り、「安定したエリートコースを歩んでいた男が、幼友達との再会を機に人生を見つめ直す物語」であって、........
 「人生の道のりを列車の旅になぞらえて表現します」という所は腑に落ちない、........
 列車のシーンは、主人公の丸山の日常生活の一コマに過ぎないのではなかったか、......
 改作は、劇団員の物語にしようとしたところに無理があったのではないか、......等々考えてみた。

 何はともあれ、観て良かったと思える良い舞台であった。

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posted by 人間座 at 23:41| Comment(1) | 日記

2018年09月24日

劇団つちの娘十五夜公演 を観て


     贋作『 ライ麦畑でつかまえて 』
 
         原作「ライ麦畑でつかまえて」J・D・サリンジャー
             脚本・演出  武士岡大吉 


    日時 2018年9月22日(土)〜23日(日)  会場 人間座スタジオ

 始まる前から、シーンと静まり返ったスタジオ内の空気。
 それは、舞台美術が何かを物語っていて、観客はこれから行われる芝居に、期待で胸を膨らませていたのに違いない。
 ススキの咲き乱れる荒地(大麦畑のようにも見える)を表してか、細く切った布が壁面いっぱいに垂れ下がっている。そしてその左右を白布が占めていた。
 虫が鳴いている。
 その中で、美しくて悲しい物語が展開されるのだが、これは愛の物語なのだろうか。

 観劇後も考えている、あれは何だったのだろうと。
 固唾を飲んで観ていたのだけれど、幻のように現れて、そして消えて行った感じがする舞台.......
 話されていることは抽象的な表現だから、分かったようでいて、漠然とした理解しかできないのだけれど、心が震え、舞台に釘付けになっていた。
 
 若い人達は、こんな美しくて輝いている作品を創る力があるんだと、頼もしくもあった。
 出演者もそれぞれみんな良かったし、作品に対して意気込みが違っていた。
 この幻想的な作品は、「私を捕まえて」と言うセリフと一緒に荒地で遊ぶ兄と妹の姿となり、懐中電灯で信号を送る最後の父と母の姿となり、等々、何時までも忘れられないものとなった。

 この舞台に対しての問いも解説も批評も必要ではないように思えて来た。
 その創造の場に居合わせただけで、得るものがあったのだから。

 素晴らしい作品を観せてもらってありがとうございました。。

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posted by 人間座 at 21:06| Comment(0) | 日記