2017年03月09日

劇燐「花に荒らし」点火公演 を観て


     『 落ち行く 光に願いを 込めて 』
             脚本・演出 出町平次IMG.pdfIMG_0001.pdf

        2017年3月3日(金)〜5日(日)    会場  人間座スタジオ

 話の内容がよく分かったのかと聞かれたら、分からないところもあるのだが、それでも面白いと思える舞台だった。
 脚本・演出の出町平次さんは、独特な鋭い感性でもって、「現代」を捉えようとしている、才能のある人のようだ。

 大都会の真ん中、渋谷の109の上から、今日も5人の少女が身投げする。
 それをまた、後片付け・掃除をする、マグロ拾いと言う仕事をしている女達がいるのだ。
その中の一人が「なんか、最近死にたいって言うか...生きるのが向いてないんじゃないかなぁーっなんて、思ったりして」というセリフで始まるこの劇は、「現代社会」の汚物の溜りの中で、病んで行く「心」を、描こうとしているのか。
 しかもそれがリアルな方法ではなく、亡霊の出て来る死後の世界を織り交ぜながら観客を不思議な世界へ引き込んで行く。6体の顔も手も足もないマネキンと、舞台いっぱいに置かれた段ボール箱、....舞台はそれだけなのに。
 やがて渋谷109は不幸の象徴だとして壊されることになり、そこにユートピアを造ろうとするのだが....どこまで行っても理想郷はなく....「結局、逃げ場なんかどこにもなかったんですよね。どこに行こうと、何しようと、自分の本質が変わるわけじゃないんだから」と言わせて、街はまた繰り返しその不幸を孕み続けて行くだろうし、女達はその中で、独楽のように回り続けているだろうと結んでいる。
 また演出も斬新なアイデアで構成されていて大変良かった。

 出町平次さんの今後の活躍を期待しています。
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posted by 人間座 at 22:26| Comment(0) | 日記

2017年03月02日

トイネスト・パーク SECOND PARADE  公演を観て

 
     LAST ORDER 』   
                 
                                              
  脚本・演出  坂井美紀
            
         2017年2月24日(金)〜26日(日)      人間座スタジオ

 脚本・演出の坂井美紀さんの創り出す舞台は、幻想的で不思議な雰囲気を持った、そして甘くて美しい世界だ。
 これまでにも観せてもらった作品は、どれも強く印象に残っている。
物語をはじめ、舞台美術も衣裳も、その他全ての点において、こだわりを持ち、工夫が凝らされ、独自の独特な世界、童話のような世界を創り出しているのだ。
 今回の作品も、やはり坂井美紀さんの力量を感じさせる舞台であった。

 内容は「≪あの世とこの世の狭間≫に佇む一軒の煌びやかな店。そこは”服を必要とする者にしか見えない”仕立て屋『ラストオーダー』  店に訪れたゲストは記憶を失った少女。少女は何のためにここへやってきたのか_____妖しくも美しい青年”仕立て屋・ラストオーダー”  秘密を抱えた”花嫁・コハク”の物語が、幕を開ける。」と説明されている。

 今後のますますの活躍を期待する者として、少し気になることは、俳優達の育成の件だが、一作品ごとの配役はよく考え抜かれていると思うし、上手だと思う人もいるのだが、一回限りの出演でもう姿が見えなくては残念だ。
 演技が磨かれた俳優達が揃ったなら、坂井美紀さんの舞台ももっと凄さが増すに違いないと思う。
”仕立て屋・ラストオーダー”の入谷 旭さんは、魅力のある人で、主人公として一本の作品をよく引っ張っていたと思う。
いい俳優さんになられるため、これからも頑張って技術を磨いて行ってください。

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posted by 人間座 at 13:33| Comment(0) | 日記

2017年01月31日

劇団蓼喰ふ虫 公演を観て


      『 透明人間の蒸発 』  
        脚本 野田秀樹   演出 牧野知泉

       2017年1月22日(日)    会場  人間座スタジオ

 この公演のチームがスタジオ入りしてから、舞台準備に4日もかけて取り組んでいる様子を拝見、その様子から、みんなのこの作品に対する思い入れと意気込みが感じられ、本番の日を楽しみにしていた。
 ところが残念なことに、本番直前に、出演者の中にインフルエンザ患者が出て、上演が中止に追い込まれる羽目となった。
 辛うじて最終日の1ステージだけを公演することが出来、観客も入っていたが、5ステージの予定だったのに....主宰者はどんなにか無念だっただろう。
 舞台は生身の人間がやることだから、酷な世界なのだとあらためて思う。

 若い人達に人気のある野田秀樹の作品だが、演出も一筋縄ではいかず大変だろうと思うのだが、舞台美術をはじめ、いろいろに工夫を凝らした小道具や持ち出し道具を使いながら、隙のない展開でテンポもよく、出演者の若いパワフルな演技も加わり、舞台は大変よく出来た見応えのあるものだった。

 主宰者の坂本彩純さんは”ヘレンケラ”という主役級の役を見事に演じながら、この大きな座組を作って公演を打つという度量の大きさに感服。
これからも、「劇団蓼喰ふ虫」として公演を打って行ってください。

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posted by 人間座 at 14:36| Comment(0) | 日記