2018年09月24日

劇団つちの娘十五夜公演 を観て


     贋作『 ライ麦畑でつかまえて 』
 
         原作「ライ麦畑でつかまえて」J・D・サリンジャー
             脚本・演出  武士岡大吉 


    日時 2018年9月22日(土)〜23日(日)  会場 人間座スタジオ

 始まる前から、シーンと静まり返ったスタジオ内の空気。
 それは、舞台美術が何かを物語っていて、観客はこれから行われる芝居に、期待で胸を膨らませていたのに違いない。
 ススキの咲き乱れる荒地(大麦畑のようにも見える)を表してか、細く切った布が壁面いっぱいに垂れ下がっている。そしてその左右を白布が占めていた。
 虫が鳴いている。
 その中で、美しくて悲しい物語が展開されるのだが、これは愛の物語なのだろうか。

 観劇後も考えている、あれは何だったのだろうと。
 固唾を飲んで観ていたのだけれど、幻のように現れて、そして消えて行った感じがする舞台.......
 話されていることは抽象的な表現だから、分かったようでいて、漠然とした理解しかできないのだけれど、心が震え、舞台に釘付けになっていた。
 
 若い人達は、こんな美しくて輝いている作品を創る力があるんだと、頼もしくもあった。
 出演者もそれぞれみんな良かったし、作品に対して意気込みが違っていた。
 この幻想的な作品は、「私を捕まえて」と言うセリフと一緒に荒地で遊ぶ兄と妹の姿となり、懐中電灯で信号を送る最後の父と母の姿となり、等々、何時までも忘れられないものとなった。

 この舞台に対しての問いも解説も批評も必要ではないように思えて来た。
 その創造の場に居合わせただけで、得るものがあったのだから。

 素晴らしい作品を観せてもらってありがとうございました。。

つち.jpeg


 
 
posted by 人間座 at 21:06| Comment(0) | 日記

2018年09月23日

空降る飴玉社のreシアター を観て


       『 ランプアイの唄 〜from summer to from spring〜 』
    
               脚本・演出 : 加藤 薫   


  日時  2018年 9月14日(金)〜16日(日)  会場  人間座スタジオ   

 「 今作は、滋賀県の琵琶湖に浮かぶ有人島・沖島をモデルにした縹島で暮らす、小学校時代のクラスメイトと、その担任の先生を中心とした人間ドラマで、それぞれの登場人物の歩みを近くで見てくれ」と前説にあるが、数少ない島の子供らの、小学生から中学・高校・大学と成長して行く姿を、丁寧に描いている。

 これといって取り立てて、子供らの間に事件が起こるのでもなく、日々の暮らしの悩みであったり進路に対する迷いであったり、友人を好きになったりとの心の襞を、心優しい元教師が見守って行く。
 そして教師は暴風雨の日、子供を助けようとして湖に落ちて死んでしまうのだ。

 小さな島での様子が、生活が、どこまでも自然に沿って描かれていて、何とも言えない素朴な感じが伝わって来る、心温まる作品だった。
 
 舞台は、いくつかのサイコロ(箱)を組み合わせながら、いろいろに変化させ、場所を何個所も設定して行くのだが、しかもそれを出演者が同時にやっていて大変だと思うのに、手違いもなくスムースに劇は進行していた。
 しかし苦労している割には、場面が変わったようにはあまり思えなかった。

 またこの作品は、歳を経るというストーリーだから、出演者は歳と共に変化が要求されるのだが、狭い会場では観客も間近かだから、あまり変化が見て取れなかった。
 この時の流れを何かの方法で、もっとはっきり印象付けられていたら、時と共に移ろい行く子供らの姿が、はっきりしたように思うのだが、やはり全体的にはあまり変わり映えのしない印象だった。 

 何時も感心するのだが、作・演出の加藤薫さんは役もやってられて、しかも年に数回もの公演を打ち続けてられる。
 今が一番才能が輝く時なのだろうと思って、妬ましいかぎりだ。
 これからもゴリゴリ書いて発表して行ってください。応援しています。

飴玉社.JPG
 
posted by 人間座 at 20:03| Comment(0) | 日記

2018年09月11日

劇団めいろ 第3回公演 を観て


       『 白雪姫 』     脚本・演出  加島百菜

    日時  2018年9月7日(金)〜8日(土)   会場  人間座スタジオ
 


 「家庭とは、最小単位の牢獄だ。私達は産まれた瞬間から、額縁の中に飾られてしまった写真のようにそこから逃れられなくなる。」と作・演出の加島百菜さんは書いてられる。
 「いいこ、いいこ。本当に好い娘ね。」と言われながら育って来たに違いない彼女の、日頃の鬱憤がこの作品に込められているようだ。
 それも何んと、かの世界的にも有名な作品「白雪姫」を題材にして、それを現代版に置き起こしたとのことだが。

 ところでこの作品では「白雪姫」を次のように解釈しているようだ。
 これは初めて聞くのだが、”白雪姫の母親は継母ではなく、娘を慈しみ愛しむあまり、自分の思うようにならない娘に殺意を抱き、城から追い出した”というのだ。

 作品の内容は、母親と娘の日常生活上の葛藤が中心で、そこから逃げ出したいと悩む娘だが、学校の友人達や先生とのふれあいにより慰められ元気づけられて行くと言う筋書きで、 娘は母親に反抗する事も無く、何事も起こらない青春の日々が過ぎて行くと言うお話しだった。

 出演者の演技も素直で力みもなく良かったし、劇団めいろさんのカラーなのか、チームの醸し出す雰囲気は、優しくて美しく、温かさが伝わってくる良い舞台だった。

 何時までも、良い仲間と共に、演劇に携わって行かれる事を願っています。

             めいろ.jpg

 
    
posted by 人間座 at 21:16| Comment(0) | 日記