『 み ど り 』 作・演出 げんごろう
日時 2018年4月6日(金)〜8日(日) 会場 人間座スタジオ
宣材のキャッチフレーズには「 2018年、日本国内の路上生活者は推定6000人前後 彼の最期を見たものはどこにもいなかった__ 」とあって、真っ向から社会問題に向かい合って取り組む骨太な作品かと期待していたが、実際の舞台は、その現代社会の一面をちらっと眺めて通り過ぎたようで、少し物足りなさが残った。
作品の大半を占めているのは、ある居酒屋の一室での、女一・男二の三人の若者が、久々に集まっての、ちゃんこ鍋をかこんで飲み食いながらの会話だ。
それが取り留めもなく、次々と関連もなく飛び出して来ては消えてゆく感じで、何か耳に残るものはあまりなく、只々だらだらとだべっている感じだ。
後で聞くところによると、作者が書いたセリフはなく、出演者の即興で成り立たせていたそうで、それにしては、三人は見事に自然体で、自分達の日常風景を演じていたと思うし、これがげんごろうさんの意図したところの実験なのだろうか。
ところが、これらが一体、下手にダンボール箱の囲いの中で暮らしている生活者とどう関係して行くのかが、気になるところだが、その路上生活者は、客の女の兄に当たるらしい。
その兄は閉鎖的な性格で、家族を捨て、何故か孤独な生き方になってしまっている。
映像面で現実の一面を写し撮って来ているのは面白いのだが、兄の妹や母親との葛藤や、何故そうならざるを得なかったのか等々、もう少し物言わぬ人の立場を知りたいと思うのだが、......それには作者のげんごろうさんが、優しさだけではなく、真実を掘り当てる厳しさも必要になって来るのではないか。
これを糧にして、飛躍して、成長されて行かれることを願っています。