『 短 針 』 作・演出 大内卓
日時 2019年2月21日(木)〜24日(日) 会場 人間座スタジオ
「劇団飛び道具」は、人間座スタジオでは初めての公演だが、日頃見なれているエンターテイメントの勝った芝居とは一味違って、落ち着いた内容のある良い作品になっていた。
作・演出の大内卓氏は、セリフのやり取りも細やかで、会話の底に流れる心理に沿って観客を舞台にしっかり惹きつけていたし、流石に中堅の劇団らしく、風格が備わり、地歩をしっかりと固めている様子が、客席からの期待感からもうかがわれた。
内容について一点。
過去の戦争で、夏島から輸送船に乗って本土へ向かおうとしていた家族全員を爆撃を受け亡くしてしまった主人公は、幼年学校でそのことを聞き、一人生き残ったことを知る。
それからは頑なにその記憶を忘れようとして今日まで生きて来たが。
それが、依然の家にあった古時計、今も柱にかかっているその短針の動かない古時計を動かそうと触ると、
過去の思い出が甦って来る......ここのところが、少し安易ではないかと思うのだが、........。
それに、”短針”の役が、いつも舞台の何処かに居るが、それが見た目には妹のカツコかと思っていると、ジンザブロウになったり、父や母になったりして主人公と対話させていくところも、ストーリーの説明に終わるのではないだろうかと思った。
主人公を慰霊祭に参加しょうと決意させたのは何か、誰か、妻かジンザブロウか等々.......人物と人物の葛藤を重視するよりも、一面的にきれいにまとめられた嫌いがあるように思った。
益々のご活躍を、期待しています。
