2019年01月30日

劇団紫 2018年度卒団公演 を観て

      『 不幸せの黒い鳥 』   脚本・演出  桜咲

    日時  2019年 1/26(土)〜1/27(日)  会場  人間座スタジオ

 先ず幕開きに、チルチル・ミチルの兄妹が出て来る。
 これはチルチル・ミチルの「青い鳥」の、「幸せと言うのは、案外身近な所にある」というメッセージが込められている話なのかなと思いきや、次に花屋の兄妹が出て来るのだが、こちらは「黒い鳥」を追いかけているという。 どちらの兄妹も大変仲が良い。
 そもそも「黒い鳥」とは何ぞや?
 「黒い鳥」は夜、人の夢に入り込み、その夢の主に究極の不幸を見舞うのだそうで、だから夢が醒めるまでに、殺してしまわねばならないのだそうだ。
 この二本の筋書きが何故交錯するのかという説明は、夢の中で活躍する師匠という男のセリフに、
 「誰かが幸せを感じる時、誰かがバランスを取るために不幸になる。」とある。
 つまり「青い鳥」は、「黒い鳥」を生み出すことになるようだ。

 花屋の妹は「黒い鳥」に襲われて消えてしまった兄の復讐のため、「青い鳥」を放ったチルチル・ミチルの兄妹を殺そうとするが、でも殺せなかった。

 台本を読ませてもらうと理解できるのだが、舞台では少し分かり難く、観念的に思った。
 でも2名の卒団生をしっかり支えていた、次を受け継ぐ後輩の姿が逞しく、飽きさせない良い舞台になっていた。

 卒団生の桜咲さんは、作・演出・出演と三役をこなし、よく劇団をこれまで引っ張って来られたと思う。
 また同じく井上智佳さんも大きな役を担って頑張っていて、この二人はいつも創造の中心であった。
 お疲れ様でした。

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2019年01月23日

gallop の公演を観て


     『 石飛びこむ 鯉浮きあがる 』  構成・演出  gallop 

   日時  2019年1月17日㈭〜20日㈰    会場  人間座スタジオ

 これは何なんだろう。
 「個々の思考と集団による思考、過去と未来、経験と直感。相反するものさえ複雑に絡み合い、容易にひとつの形にはならないもの。」とキャッチフレーズにある。
 そして今回は「白夜」をモチーフに新作パフォーマンスを上演するそうだ。

 一つの物が、人により色々に受け止められ、話も変化していくと想定される1シーン。
 また、あれは何の動きかと思わせる、身体全体で表現される喜怒哀楽の1シーン。
 また、一方的に喋って終わっていく言葉、言葉の1シーン。
 それから、度肝を抜かれて、ただただ見守るばかりであった、何の関連もなく全裸でうごめき回る1シーン。

 観劇後、初めて”gallop"の公演を観たという人が、「これは何処で観られるのですか?」と聞いていた。
 また、出演者が言っていたのは、「自分を見て欲しい」との思いから創造されているとのこと。
 
 台本があるでもなく、4人のメンバーの感性だけを研ぎ澄まし、シーンを積み重ねて出来上がった舞台。
 天井のトユを伝わって落ちて来る石の粒が、鉄板にあたって鋭い音をたてる。
 観客はその音にはっと我に返るのだが......それは、いつも見慣れた演劇空間に投げかけられた石が、波紋を作って行くように、新しい疑問を投げかけて来る。
 流石に京都造形芸術大学出身者の皆さんの、大胆で勇気のある創造への挑戦が、はっきり見て取れる舞台であったし、また若いということは、全裸の姿も美しいという印象だった。

 ひとつ望むなら、自己表現だけに終わらずに、自己と切り離せないシュチュエイションが必要ではないだろうかと思うのだが、あまり重要視されていないようだが、どうだろうか。

 益々のご活躍を!     

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2019年01月17日

幻灯劇場五周年記念公演第一弾 を観て


        『 盲 年 』      作・演出  藤井颯太郎

  日時  2019年 1月12日(土)〜13日(日)  会場  人間座スタジオ

 「舞台は大阪・八尾。ある誘拐事件に、それぞれ関わりを持ってしまった四人の男女。互いの距離が近づくにつれ「記録」と「記憶」がすれ違い、不可解な事件のすべてが、盲目の少年に繋がっていく。」とStoryにある。

 当時、5歳だった少年は何者かに誘拐され、15年間行方不明であった。
 ところが成人になって、突然地下鉄のホームに現れる、白い眼帯をして。
 
 この盲目の青年の出生が問題で、それが紐解かれていく形でドラマは展開していくのだが、「ゴム」遊びという非情な中から生まれて来たと装いながらも、悲しくも切ない男女の関係が明かされてゆく。
 しかもそれがシュールレアリズムとして描かれていて、不思議な、幻想的な世界を浮かび上がらせていた。

 黒と白で統一された舞台の中に、駅のホームがリアルに映し出され、現実に引き戻しながらもなおクールに人間の心情を描き切ろうとしている作・演出の藤井颯太朗さんの、作品に対する毅然とした態度が感じらる、斬新で優れた舞台であった。

 ( この作品で、大阪の八尾という具体的なものは何も無かったように思うが、どこでも良かったのではないだろうか。それの方が普遍的で広がりを持つように思った。)

 五周年おめでとうございます。
 逞しく成長された幻灯劇場に期待し、応援しています。

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