2018年09月05日

A級欠番第一回公演 を観て


      『 灰野澤、虹の袂 』   作・演出 山野博生

   日時  2018年8月24日(金)〜26日(日)  会場  人間座スタジオ

 何故か分からないが、観終わった時、感動して涙が出た。
 ストーリーと言うのではない。
 そこには現実の生活があり、人生があった。
 そこで辛苦しながら生きる人間等が居た。
 主人公の三原陽生が延々と語る自身の生立ち。
 親について、妹について、兄について、それから心の縁であった彼女との逢瀬と別れについて。

 近頃の若い人達の芝居の中では稀有な、大人っぽい成熟した舞台だった。
 そこで、在り来りの感想ではいけないとの思いから、台本を読んでみたいと思った。

 山野博生さんは、才能のある人だと言ってもいいですかと尋ねなければいけないほどに、繊細な人だと知った。
 素晴らしい作品をありがとうございました。

       欠番.JPG

 
posted by 人間座 at 22:29| Comment(0) | 日記

カイテイ舎 第4回公演を観て


       『 アンティゴネ 』     ソフォクレス原作 ヘルダーリン訳による舞台用改作

            作 ベルトルト・ブレヒト 訳 谷川道子 
            演出  松本徹   


日時  2018年8月17日(金)〜19日(日)  会場  人間座スタジオ


カイテイ舎.JPG

先ずはこのギリシャ悲劇の大作を、しかも現代に通じる問題として、ブレヒトが改作した台本で取り上げられた思慮深さに敬意を表します。

『アンティゴネ』は『オイディプス』と共に、ギリシャ悲劇の中でもよく知られている作品だが、近頃では、取り上げる劇団も少なくなっているように思うのだが、演出家・松本徹氏は新しい観点からこの古典劇を照射され、甦らせようとされているのだ。
 つまり「アンティゴネの死を運命の悲劇から暴君の犠牲者として捉えなおすことで現代的な意味を与えたのです」とこの作品を解説されている。

 舞台で一番に感心したのは、舞台美術だった。
 実際の砂を舞台に持ち込んで、それを演技の中に活かして行くという、演出の意図とも相呼応して、このスタジオが何時もの舞台の趣きとはすっかり変容し、斬新で芸術性の高い空間に早変わりして、素晴らしい舞台になっていた。
 また、6人の出演者だけで、勿論一人がいろいろな役をやっていくとは言え、この大作をやっているなんて考えられない、見応えのある舞台だった。

 ひとつ残念に思うのは、やはり一人の出演者が何役もやると、どの役も同じようなトーンになってしまい、芝居全体があまり変化がなく、始めから終わりまで変わらないように見えてくる。
 そしてそこに一貫して流れているのは悲しみだけで、権力者とそれに盲従する民衆や、預言者の言葉などが際立ってこないのは何故だろう。
 だからと言って、滑稽さを付け加えようとしても、わざとらしいところが目についたのだが......
 
 演出家・松本氏もきっと思ってられるだろう、よく訓練された俳優達で座組が組めればと....
 現実は厳しいですが、また素晴らしい作品を観せて下さい。お待ちしています。

カイテイ舎2.JPGカイテイ舎3.JPG



 


posted by 人間座 at 14:24| Comment(0) | 日記