『 ケーキのサンタを食べちゃうぞ 』
作・演出 川村武郎
日時 3月23日(金)〜25日(日) 会場 人間座スタジオ
何だか、ほんわかした家庭劇を観た思いだ。
内容は、京都のとあるラウンジバーに、母親の葬儀を終えた翌日、集まった父親と娘3人、それに末娘の恋人.....何故そこに集まって来たのか? 慰労会なのか?
とにかく、飲物をじゃんじゃん飲みながら、身内の会話が取り留めもなく次々に繰り広げられる.....長女の離婚話や、進学のため家を出て京都へやって来た昔のことなどなど.....中でも、末娘の”できちゃった婚”の打ち明け話から、この場がたちまち結婚式の宴となり、オーダーで出てきたショートケーキがウェディングケーキに早変わりし、それがまた幼い頃のクリスマスケーキの思い出に繋がり、その時父親がそのケーキのサンタを食べたので、末娘は怒って泣いたことなどなど.....この場に居合わせ話を聞いていた恋人の男は、この家族の絆や心の温もりに感激し涙を流すのであった。
それから、亡くなった母親はどんな女性であったかも分かって来る。
作・演出、それに俳優でもある川村武郎さんのお人柄がにじみ出ている、好感の持てる舞台であった。
それは、大上段に社会問題を振りかざすのではなく、そっとささやかな日常生活の中に”人間”の有様を映し出している、優しさにあった。
川村さんは京都の演劇界でも長年にわたり活躍されていて、良い作品を残してられる。
これからもご活躍を願っています。