2017年11月29日

おむすび企画公演 を観て


       『 深夜のラジオリスナー 』   脚本・演出 あかみー

     日時  11月25日(土)〜26日(日)   場所  人間座スタジオ

 DJ夢子の深夜ラジオのお便りコーナーで、リスナー達の悩み事を聞いてあげると言う、なかなか面白い発想で脚本が構成されているのだが、イマイチよく分からないのは、月の神の存在だ。
 月の神は、月天教教祖である夢子の母親に憑依して、夢子に教祖の二代目を継げと迫り、それを受け入れるなら夢子の願いを叶えると言う。
 そしてある日突然、リスナー達が夢子の部屋にやって来る。それは夢子の願いでもあった。

 この両者、夢子と母親との葛藤に、どうして月の神が絡んで来るのか、その説得力が弱いのではないだろうか。

 これをリアルな話として、DJの仕事だけに絞り込んで、母親との葛藤や、夢子自身も抱えている悩み事を、リスナー達にも打ち明けて、より親しくなって行く「深夜ラジオ」もあるのではないだろうかとも思うのだが.....それにしても若い人の作品は、現実から飛躍して、アニメの世界が一般化しているのだろうか。
 新しい感性で、新しい作品をどんどん創って行ってください。

  旗揚げ公演らしく若さいっぱいの熱演に拍手を贈る。
 そして、これだけに終わらず今後も継続されて行かれる事を願っています。

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2017年11月24日

劇団FAX第5回オムニバス公演 を観て


        『 寒い冬が来る 』  作・演出 玉井秀和

     1作品 『 人は生きる、それでもなお 』
     2作品 『 さむい夜にはおでんが食べたい 』


    日時  11月18日(土)〜19日(日)   会場  人間座スタジオ

 何だかほっとするような、身近な感じのする短編が2本並べられた舞台であった。
 前回観せてもらった玉井秀和さんの作品、『贋作 蟹工船』とはガラリと様変わりしていて、このような作品も書かれるのかとびっくり。
 作品の内容は、市井の庶民の生活の一部を切り取って来て、テーマを「冬」に絞って、二本の短編をオムニバス公演として並べているが、1作目の、ごみ溜めのような路地裏で、煙草を吸っている二人の男の姿や、2作目の、掘り炬燵でおでんを食べる若い夫婦の情景の中に、「寒い冬」を身を寄せ合う人々の姿が、温かい。

 劇団FAXさんが掲げるモットーは、「日々の生活の中にある些細な美しさから世界を眺める」だそうだ。

 最近、京都の劇団でも、一公演で2千人もの観客を集めている所もあるが、それはそれで立派だなと思うのだが、また玉井さん達が今やってのけられている、毎月のようにあちこちで小公演を打ち続けながら、人々の心に浸透して行く作品を積み重ね行かれる道も、素晴らしいと思う。
 益々の活躍を期待しています。33535 (1).jpg33534.jpg
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2017年11月18日

劇団ACT 秋の卒団公演 を観て


       『 ドグラ・マグラ 』  原作: 夢野久作
                     脚本:演出 小見川風弥


         日時 11月11日(土)〜12日(日)  会場 人間座スタジオ

 「お父さん、お母さん、私は何故この世に生まれて来たのか」との青年の叫びが、ぐっと胸に来て涙が出た。
 ただそれだけで、この作品を理解したことにはならないが、昨今、一人の男が何人もの人間を殺害する事件が報道されているが、そんな行動をとる人間の精神が解せないと世間の人は言っている、まさに今に通じる問題だ。

 この作品は、余りにも有名な、夢野久作の「ドグラ・マグラ」−−− 九州大学精神病科、実験材料である一人の青年の、「狂人の解放治療」という話から始まる内容−−− 一度は読もうとしたものの、中途で投げ出してしまった程の、大変な大作で、この原作を下に脚色して舞台に掛けようという大胆な試みは、驚くばかりだ。
 でも、全部員は、相当な覚悟を持って取り組んでいて、台本を持つリーディング様式を取りながらも、殆どのセリフを覚えているという、緊迫感のある良い舞台であった。
 新しい思考で、未知なるものに挑戦して行く若い人達、そこにACTさんの姿勢が感じ取れて、素晴らしい。

 3回生で部を卒団されて行く面々の、何本か観せてもらったその舞台が思い出させて来て、また涙する。

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posted by 人間座 at 11:24| Comment(0) | 日記