2016年07月23日

熊の宅急便企画 第4回企画を観て


       『 日常風景の日常風景 』

         作 / 演出   木下 航

 時には椅子がいくつか置かれるだけで、舞台には何もない。  
 5人の俳優が無心に、標識になったり街路樹になったり、タクシーの運転手や幽霊になったりと、次々に短編作品の世界を、自分の身体ひとつで演じて行くのだ。 面白かった。

 内容は次の8本だ。 
   『日常風景の日常風景』 〔標識四方山話〕〔日常風景の日常風景〕〔喰という字〕
   『怪談』  〔タクシー〕〔最終電車〕〔心霊スポット〕
   『正直者の恋』
   『犬畜生』        

 作/演出の木下航さんは、舞台の目標を、「社会的なメッセージなるものを伝えるとか、芸術の中で人間を表現するなんて大それたものではサラサラなく、舞台が終わったときにお客さんがほうっとため息一つ吐いて ”ちょっとだけいいもの見たな” と思って帰ってもらうこと」に定めているそうだが、それでも最後の『犬畜生』の中に作者の本音が垣間見えるようで、それがまた作品全体の深みを加えているように思った。

 演劇好きが高じて、作/演出/出演をやりこなしながら、この厳しい現実社会の中で、「演劇人」として生き残っている木下さんに、これからも粘り強い活躍を期待している。

 何時も京都の町のどこかで、このような「演劇」が公演されている様を夢見ているが、「熊の宅急便企画」さんもどんどん書いて発表してください。応援しています。

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2016年07月15日

劇団ACT 夏の短編公演を観て


     『 啼く水琴窟 』              
            総合演出  くにたさちえ

          日時  7/9(土) 7/10(日)   場所  人間座スタジオ

 年間4〜5本の作品を発表している劇団ACTさんだが、皆の大学(京都産業大学)が人間座スタジオと近いこともあってかよく利用され、公演をよく観せてもらっている。
 次々に新作を発表するには、劇団内で誰かが書くか、又は既成の作品の中から見つけて来るか、どちらにしろ大変な労力が必要だ。 
 今回は短編5編を並べての公演だが、作者は誰なのか明記がないのは困ったが、『ホットドッグとチリソース』 『変遷』 『ハハオヤ』 『ドリームドリーム』 『ワン・モア・タイム!』と、やはりそれぞれ心に残る作品であった。
 そもそも劇団ACTさんの、先輩から受け継いでいるカラーと言うか、伝統と言うか、それは舞台のエンターテイメントを追うと言うよりも、「現代社会」に対峙し捉えようとする姿勢が伺われるようだ。
 故に、観客も同じ空間で、同じ流れる時間の中で、「考える」作業を共にすると言うことになる。
 考えてみればそれは、知的な、贅沢とも言える幸せの一時で、観劇後は、観て良かったと思わせる。

 新入生が懸命に、作品に取り組んでいるのも好感が持てたが、やはり先輩達はさすがに力量が積まれていて、見応えがあった。観続けていると、成長がはっきり見て取れる。
 2〜3年の間に、こんなにも上手くなるのだなと感心。今じゃすっかり存在感のある舞台俳優だ。

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posted by 人間座 at 11:53| Comment(0) | 日記

2016年07月06日

劇団紫第71回定期公演 を観て


          『 まちがいだらけの手紙 』
              脚本 岡田ゆき  演出 篠原 涼

          日時:7月2日(土)/3日(日)   場所 人間座スタジオ

 爽やかな舞台だった。
 まず、出演者全員が素直な演技で、感性も良く、稽古もよく積まれていて、観る側も素直に、作品の世界に溶け込めるのだ。
 これはもしかして、演出の力によるものかも知れないとも思ったが。

 作品の内容は、ある日、音葉という女性に、一通の手紙が届く。
” 灰色に染まった私の世界に届いた一通の手紙。私の住所を記して送られてきた、私宛じゃない手紙 
 唐突に始まった言葉の交換は私の世界を変えていく。” とあらすじにある。
 作者・岡田ゆきさんは、日常生活の中から一つのエピソードを選び出し、作家である兄と妹の絆を軽いタッチで描いている。
 女性らしい作品だが、舞台化するにあたり、演出の篠原涼さんは、作品の世界をよくつかみ、スタッフと共に工夫を凝らして、美しくて、心優しい良い舞台に創り上げている。

 何だか、また違って見える「劇団紫」さん。
 良いメンバーが増えて来たのか、育って来たのか.....これは発見だ。
 次の舞台はどんなものになるのか、楽しみにしています。

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