2016年03月24日

流刑芝居 第一回公演 を観て


    神無き国のショータイム 
       
  『 イット・ファクター 』 

         作・演出  山本善之

      2016年3月18日(金)〜21日(月・祝)   会場  人間座スタジオ

 「そう言えば、あの憂鬱な異邦人は、起きたまま夢を見るようになったと聞く。
     仮初めの歴史と ナニモノにもなりきれない私。
        神のいないこの国で、今日もまた残酷なるショータイムが幕をあける。」

 不思議な舞台を観た。
 何故か、深海の暗闇のような、混沌とした空間に、キラキラと輝きながら次々と、印象的な言葉が吐き出されては消えて行く。それでいて、ストーリーとして何が像を結ぶのかと言えば、怪しげな影像と共に、現代社会の中で、苦しみもがきながら、自己の存在を探し求めている姿だった。

 作・演出の山本善之さんの持ってられる世界は、簡単に一筋縄で掴めない、大きなものを秘めていると思えて、観劇後、脚本を借りて読ませてもらったが、書く力の十分にある人だと再確認した。

 また舞台も、キャストをはじめ総てが、芸術学部のある京都造形芸術大学で叩き込まれた技術が発揮されていて、落ち着いて観ることのできる、しっかりとした見ごたえのある良い舞台であった。
 ”流刑芝居”の皆さんは、これからの京都の演劇界を担って行かれるのだろう。楽しみにしています。

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2016年03月15日

劇団紫2015年度卒業公演 を観て

 
       劇団紫卒業生、最後の挑戦  『 赤鬼 』

            脚本 野田秀樹   演出 もりす

         日時 3月12日(土)〜13日(日)   会場 人間座スタジオ

 本当に感動した.....みんなが一丸となって舞台をぐいぐい引っ張って行く.....上手いとか、そんな言葉ではなく、全員が一つの作品のテーマに向かって、自分の持ち場をしっかり果たして、しっかり役を生きている。

 演出のもりすさんは、高校1年生の時にこの野田秀樹の作品に出会って以来、いつか挑戦したいと思いながら、6年の月日が過ぎ、やっとその念願の挑戦を現実のものにされたそうだ。
 それだけ作品にのめり込んでいる彼女の姿勢が、全員に良い刺激を与え、引き締まった良い舞台を創り上げたのではないだろうかと思われる。
 それに、演出と同時にもりすさんは、自分でも「あの女」と言う、「赤鬼」と共にストーリーを展開して行く重要な役も立派にやり遂げ、この作品の素晴らしさを観客に伝えようとされていた。

 ところで、「赤鬼」は現代社会の中の、何を象徴しているのか?......海の向こうから流れ着いた、言葉の通じない人種か?.....etc いろんな事を想像しながら人間や社会を考え、時間も忘れて作品の世界に浸っていて.....観終わった時は、深い悲しみが残た。
 それにつけても、がくとさんの「赤鬼」は印象的であった。

 1回生の時から観せてもらって来たのに、今回で演劇から離れて社会人となって行かれる皆さんに、これからも演劇を続けて行って欲しいと、やはり勝手に思っているのですが......

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2016年03月07日

空降る飴玉社 の公演を観て


      So long,but

       脚本・演出  加藤美由

           2016.3.4(fri)〜6(sun)   人間座スタジオ

 初と言う女の子は、自分が思い通りの子供に育っていないからか、自殺と言う悲惨な形で両親を亡くしてしまう。
 一人置き去りにされて、自分の内に閉じこもってしまった初に、心の優しい光先生は、彼女がもう一度前を向いて生きて行くように励まし続ける。「So long,but」は光先生が初に送った言葉。
 やがて初は、光先生の家庭へ、養女として迎え入れられ、また家庭を持つことができるようになった。
 ところが、義弟にあたる光先生の子供の歩が遭遇する事故を防ごうとして、不幸なことに光先生自身が亡くなってしまう。
 初は自分の脳に機械を埋め込む、”心の機械化” の手術を受ける。寿命が10年間だと言うのに......

 脚本・演出の加藤美由さんは、「家族」それが今回の核となる言葉だと言っている。
 静かで落ち着いた雰囲気の中で、しかも作品の世界にずんずん引き込まれて行き、観終わった時、良かったと素直に思える、好感の持てる舞台であった。
 キャスト達も自然体で役を生きていて見やすかったが、それも演出の力かも知れない。

 ひとつ残念に思ったのは、話の進行が、最初は初で始まっているのに、途中から歩に変わって行くところが、ストーリーの一貫性に欠けるような気がした。

 今回初めて「空降る飴玉社」の舞台を観ましたが、これからの活躍が期待される劇団だと思います。
 頑張ってください。

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