2017年09月12日

劇団紫2017年度夏休み公演 を観て


       『 うさぎちゃん病 』  脚本・演出 はいじん

        日時  8/30(水)〜31(木)   会場  人間座スタジオ

 「うさぎちゃん病」とは、「寂しくなると死んでしまう病気」だそうで、だから ”思春期を迎えていない、心の状態が未熟な子供には発症しない” し、”誰にも愛されていない孤独なやつには発症しない” と、劇中で登場人物・うさぎちゃん病研究者に言わせている。

 ストーリーはこうである。
 舞の彼氏は彼方。
 彼方は舞に「冷やし中華」を作ってやると電話をかけた後、通(り)魔によって、ナイフで刺され殺されてしまう。
 舞をストーカーする和樹。
 和樹は悲しみに沈む舞の心に、彼方に代わって入り込もうとする。
 和樹から愛されれば愛されるほど、舞の「うさぎちゃん病」は悪化し、彼女は死んでしまう。

 演出のコメントには「この話は一応コメディです。自称コメディです。コメディのつもりです。最初から!最後まで!笑って観て頂きたい作品です。」とあるが、舞台からは笑えるほどの強い気迫も雰囲気も感じられなかった。
 むしろ何だか弱々しくて暗い感じがした。
 これは、悲惨なストーカーの暗い姿が、大きく浮かび上がって来る作品ではないのか?
 和樹役のじーこさんも、ストーカーの雰囲気を良く出していたし、彼方を殺した通(り)魔は和樹ではなかったのかと思わせる。
 その他にも 兎と亀や、研究者AとB の二人の恋愛感情を匂わせた件も絡ませているのだが、やはり舞と彼方と和樹の一件の方が強く印象に残ってしまうのだ。

 同じ作品でも演出によって全く違った舞台になるものだから、もっと遊びの要素を取り入れて工夫を凝らしたら、喜劇的にもなったのかも......ともかく笑いを取るのは難しいと思うが、......
 新しい部員が沢山増えていて、これからが楽しみだ。頑張ってください。

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2017年08月22日

カイテイ舎第3回公演 を観て


      『 小さなエイヨルフ 』
              
          作 ヘンリック・イプセン   演出 松本徹


        日時  2017年8月18日(金)〜20日(日)  会場  人間座スタジオ

 演出家松本徹氏の、細部にまで目の行き届いた、若い人達が中心ではあるが一定水準の保たれた、格調のある良い舞台だった。

 余りにも有名なイプセンの作品は、図書館で読んでもらうことにして、感じた事をひとつ。

 イプセンは、解り易いようで分かり難いところがあるのは何故だろうと思うのだが.....
 西洋人との違いと言うか.....
 人物はそれぞれに強い自我を持つて登場し、その自我と自我とがぶつかり合い、観念と観念がぶつかり合って、ひとつの結論に到達するのだが、その論理的過程が難解なのだろうか.....

 そこで思うに、アルフレットとリータを中心に出演者は皆熱演で好感が持てるのだが、.....
 俳優は演じる時に、自分の身体を通して役を理解しようするあまり、自分の解る範囲で泣いて見せたり、怒って見せたりして、観客に解らせようと努力しているようだが、そうすればするだけ、ストーリーの底に横たわるイプセンの大きい観念が置き去りにされ、見えなくなってしまう。

 解からなければそのまま、言葉を言葉として、感情抜きで発すれば、観客は客観的に受け止め、理解することができたかも知れない。
 と思うほど、イプセンの存在は大きく、現代にまで脈々と生き続けていると思った。

 演出家松本徹氏を中心に、伊藤彩里という素晴らしい女優さんを擁するカイテイ舎の今後の活躍を期待しています。

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2017年08月01日

劇団つちの娘 初遭遇公演 を観て


      『 農 業 少 女 』    

              作・野田秀樹   演出・牧野知泉

       日時  7月29日(土)〜30日(日)    会場  人間座スタジオ

 百子と言う15歳の田舎娘が、東京に憧れ、家出して、その都会で、都罪と言う男に出逢い、彼の描く次々の夢に引きずられ、最後は都罪の主催する「都市農業の会」が、有機栽培で「農業少女」と言う米を作るとの夢を植え付けられ、彼女はその夢を実現させようとするのだが.....

 作家野田秀樹氏の作品は、現代日本の社会の恥部を見つめながら、それを笑い飛ばそうとしているような.....しかし何だか物悲しくて、切なくて、またリリカルで、少々難解なところもあって.....若い人達はこの魅力に惹きつけられるのだろう。
 出演者4名が、次々に役柄を変え、移り変わる場所に応じて、懸命にテンポよくストーリーを展開させようとしている真摯な姿が見て取れる、これは若い人達だからこそできる、爽やかで心に残る良い舞台だった。
 舞台美術も面白かった。
 
 演出の牧野知泉さんは、主人公の百子もやってのけられる能力のある人のようだが、これからもきっと人を驚かせる作品を創って行かれる事でしょう。これからの活躍を期待しています。

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